秋の『体調』『頭髪』『更年期』のケア
〜東洋医学で整える「乾燥」と「冷え」の季節〜

まだ残暑の名残りがありながら、朝晩はひんやりしてくるこの季節。
夏に溜まった疲れは秋に表面化しやすく、「だるさ」「髪のトラブル」「更年期の不調」が強く出る方も少なくありません。
東洋医学ではこの時期を「脾胃が弱り、肺や腎の働きに影響が出る季節」と捉え、早めの養生を勧めています。
ポイントは“体を温めること”

特に温灸とお灸を併用してツボを温めることは、気血の流れを促し、冷え・疲れ・自律神経の乱れの回復に役立ちます。
ここでは【体調】【髪の毛】【40代以降の更年期】の3つの観点から、症状・効果的なツボ・日常生活での注意・乾燥と寒さへの備えをまとめました。
① 体調(全身のだるさ・自律神経の乱れ)
よくある症状

夏の疲れが残り、だるい・胃腸が弱い・眠りが浅い・朝起きづらい。東洋医学では、消化吸収を担う「胃腸」の働きが弱っていることを「脾胃の弱り」、エネルギー不足を「気虚(ききょ)」と呼びます。
つまり「食べ物からうまくエネルギーが作れない・回せない状態」で、だるさ・疲れ・食欲不振・胃もたれ・朝起きづらいなどの不調が出やすくなります。
おすすめのツボ
1.足三里(あしさんり)

効果:胃腸の働きを整え、体力・免疫力をアップ
位置:膝のお皿の外側下から指4本分下、すねの外側の骨の際にあります。
押し方・温灸方法:
- 指で押して少し痛気持ちいいくらいの強さで押す
- 温灸やお灸なら、温かさを感じる程度で5〜10分ほど置く
- 足の血流が良くなると、胃腸の調子や疲れの回復に役立ちます
2. 中脘(ちゅうかん)

効果:消化機能を整え、胃の不快感や食欲不振を改善
位置:みぞおちとおへその中間あたり、体の正面の真ん中です。
押し方・温灸方法:
- 指の腹で軽く押しながら、円を描くようにゆっくりマッサージ
- 温灸やお灸なら、温かさを感じる程度で5分前後
- 消化力をサポートし、食べたものの吸収を助けます
3. 内関(ないかん)

効果:自律神経を整え、ストレスや胃のもたれ・吐き気に効果
位置:手首の内側、手首のシワから指3本分肘寄り。手首の中央、2本の腱の間にあります。
押し方・温灸方法:
- 親指で軽く押しながら、1〜2分ほど呼吸に合わせて押す
- 温灸やお灸を使う場合、痛みが出ないように温かさを感じる程度で置く
- ストレスや不安感をやわらげ、胃腸の調子も整えます
日常生活の注意

冷たい飲食や甘いものを控え、温かいスープや消化の良いものを選びましょう。
睡眠時間を一定にし、夜更かしを避けることが大切です。軽い運動(散歩・ストレッチ)で気血を巡らせるのも効果的です。
乾燥・寒さへの備え

生姜・ねぎ・はと麦茶など体を温める飲食、足首・腰回りの保温、入浴で“陽気”を養いましょう。
温灸やお灸で足三里や中脘を温めると、胃腸・免疫力がさらにサポートされます。
② 髪の毛(抜け毛・頭皮の乾燥)
よくある症状

東洋医学でいう「腎」は腎臓そのものだけでなく、ホルモンや生命力、成長・老化に関わる“根本の力”を指します。
「血虚(けっきょ)」は血液が不足している・血が十分に栄養を届けられない状態のことです。
この「腎」と「血」の両方が弱ると、髪や頭皮に必要な栄養が届きにくくなり、抜け毛・乾燥・ハリやコシの低下が起こりやすくなります。
例えば、秋に髪が抜けやすいのは、夏の疲れや紫外線で毛根に対して栄養を送る「血」が消耗し、さらに年齢やストレスなどで「腎」の力も弱っているため、抜け毛が多くなります。
おすすめのツボ
百会

効果:頭部の血流を良くし、ストレス・不眠・抜け毛対策、自律神経のバランス調整。頭皮全体の血流改善が期待できます。
位置:頭のてっぺん。両耳の先端をまっすぐ頭頂に向かって結んだ線と、眉間の真ん中から頭頂に伸ばした線が交わるところにあります。
押し方・温灸方法:
- 両手の中指で頭頂部を軽く押し込み、円を描くようにマッサージ
- 温灸は頭皮用の低温タイプか蒸しタオルで温めると安全
- 頭皮の血行促進や、頭のだるさ・めまい・抜け毛予防にも役立ちます
肝兪(かんゆ)・腎兪(じんゆ)


効果:
- 肝兪:目の疲れ・情緒不安定・血流の滞り
- 腎兪:腰の冷え・疲れ・更年期の不調・免疫力低下
位置:背中の腰寄りにあり、背骨の両側の筋肉の上にあります。
- 肝兪:第9胸椎の高さ(肩甲骨の下角より少し下)から指2本外側
- 腎兪:第2腰椎の高さ(ウエストの少し上)から指2本外側
押し方・温灸方法:
- 自分で押す場合はテニスボールなどを背中に当てて転がすように刺激
- 温灸は腰に貼るタイプやカイロを使用して温めると簡単
- 血流やホルモンバランスを整え、冷えや疲労感の改善に役立ちます
風池(ふうち)

効果:首・肩こり、頭痛、めまい、目の疲れ、風邪のひき始めに効果的
位置:後頭部の髪の生え際。後頭骨の下、首の太い筋肉(胸鎖乳突筋)の内側のくぼみです。左右にあります。
押し方・温灸方法:
- 親指で頭の付け根を押し上げるように1〜2分軽く圧迫
- 蒸しタオルを首の後ろに当てて温めるのも効果的
- 首肩のこりをほぐし、血流改善や頭痛・風邪予防に役立ちます
日常生活の注意

睡眠不足・過度なストレス・極端なダイエットを避けましょう。頭皮マッサージ・ブラッシングで血流を促進。髪や頭皮に負担の少ないシャンプー・乾かし方を心がけてください。
乾燥・寒さへの備え

頭皮の保湿(オイルマッサージや美容液)、加湿器で室内湿度を保つ、首・後頭部の冷え防止(スカーフやネックウォーマー)も効果的です。
腎兪・風池などのツボに温灸・お灸を併用すると頭皮や髪の血流改善に役立ちます。
③40代以降の女性の更年期(ホルモン変動による不調)
よくある症状

「腎虚(じんきょ)」は、体の根本的な力(ホルモン・代謝・生殖力)を司る「腎」が弱っている状態です。
冷え・腰のだるさ・疲れやすい・髪や肌の衰えなどが出やすくなります。
「肝気鬱結(かんきうっけつ)」は、ストレスや感情の抑圧などで“気”の流れが滞っている状態のこと。
イライラ・気分の落ち込み・胸のつかえ・頭痛などが起こりやすくなります。
更年期の不調(ほてり・イライラ・眠れないなど)は、これらが組み合わさって出ていると東洋医学では考えます。
おすすめのツボ
三陰交(さんいんこう)

効果:女性ホルモンのバランス調整、冷え・むくみ・月経トラブルの改善に有効
位置:内くるぶしの頂点から指4本分上、すねの骨の内側のキワにあります。
押し方・温灸方法:
- 両手の親指で内くるぶしの上に向かって押す(少し痛気持ちいい程度)
- 温灸やお灸なら、温かさを感じる程度で5〜10分
- 脚全体の血流を良くし、骨盤内の巡りも整えます
気海(きかい)

効果:体力・気力アップ、疲労回復、冷えや免疫力低下の改善
位置:おへそから指2本分下、下腹部の正中線上にあります。
押し方・温灸方法:
- 両手の指の腹で下腹を軽く押しながら呼吸を深くする
- 温灸やお灸で温めるとお腹全体がじんわり温まり、疲れ・冷えに効果的
- 気力が出ない時や、寒さで体が縮こまる時におすすめ
3. 太谿(たいけい)
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効果:「腎」を補い、冷え・ほてり・更年期の不調を整える
位置:内くるぶしの後ろのくぼみとアキレス腱の間にあります。
押し方・温灸方法:
- 親指でアキレス腱に沿うように押して刺激
- 温灸・お灸で温めると足先までぽかぽかしてきます
- 腎の働きを補うことで、冷えだけでなく足のだるさやほてりも緩和
これからの季節に多い病気と備え
秋から冬にかけては、気温の変化や空気の乾燥により、風邪・インフルエンザ・新型コロナ・花粉症などが重なって起こるリスクが高まります。
体調を崩しやすい時期だからこそ、「防ぐ力(免疫力)」を高めることが大切です。
東洋医学の視点
東洋医学では、冷えや乾燥、ストレスなどが体内の「気(生命エネルギー)」や「血(栄養・潤い)」の巡りを弱めると考えられています。免疫力の低下やアレルギー症状が出やすくなるのもこのためです。
今日からできる備え
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身体を温める
冷たい飲食を控え、温かいスープや発酵食品などを意識する。首・お腹・足首などを冷やさない。 -
お灸・温灸で予防ケア
足三里(胃腸を整え体力を補う)、三陰交(ホルモンバランス・冷え改善)、合谷(免疫力アップ・鼻症状)などに温灸・お灸を併用することで、体温と防御力を底上げする。 -
十分な睡眠と深い呼吸
質の良い睡眠と呼吸法は免疫細胞を活性化します。 -
こまめな保湿と加湿
皮膚や鼻粘膜の乾燥を防ぐことも感染症対策の一部です。
髪や頭皮も要注意
空気が乾燥すると頭皮も乾きやすくなり、抜け毛やかゆみの原因になります。
・頭皮マッサージや育毛鍼灸で血流を促進
・温かいタオルで頭皮を温める習慣
・高保湿のシャンプーや頭皮ローションで乾燥対策
体調管理・更年期ケアにおすすめの当院施術
当院では、体調管理や更年期ケアのために
「鍼灸療法」×「井穴(せいけつ)刺絡療法」×「耳鍼療法」
を組み合わせたオリジナル施術も行っています。
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鍼灸療法
体のツボに鍼やお灸でやさしく刺激し、血流・自律神経・ホルモンバランスを整えます。肩こりや冷え、疲れやすさ、更年期症状の緩和に。 -
井穴刺絡(せいけつしらく)療法
手足の爪の生え際(井穴)を軽く刺激することで、体内の巡りやバランスを整え、慢性的な不調やストレスからくる症状にも対応します。 -
耳鍼療法
耳のツボに小さな鍼やシールを貼り、食欲・自律神経・ホルモンの調整をサポート。自宅で持続的な刺激が続けられるため、効果が長持ちしやすいのが特徴です。
これらを組み合わせることで、
✔︎ 体の内側から免疫力や自然治癒力を高める
✔︎ ホルモンバランスを整え、更年期の不調をやわらげる
✔︎ ストレスによる心身の不調を軽減する
といった相乗効果が期待できます。


